家づくりの打ち合わせでは、何度も図面を見直し、寸法を確認し、動線を検討します。
キッチンから洗面までの距離。
収納の位置。
リビングの広さ。
どれも丁寧に考え抜いたはずなのに、実際に暮らし始めてみると、はじめて見えてくる感覚があります。
それが、「間取りの良し悪し」です。
図面上の正解と、暮らしの中で感じる心地よさは、必ずしも同じとは限りません。

間取りを考える際、多くの方が意識されるのが「動線」です。
家事動線、生活動線、回遊動線。
移動距離が短いことは便利さにつながります。
しかし、実際に住んでみると、大切なのは “距離の短さ” よりも “流れの自然さ” であることに気づきます。
朝の身支度が、無理なく進むこと。
洗濯から収納までが、すっと完結すること。
家族の動きが重なっても、窮屈に感じないこと。
これらは、暮らしのリズムと間取りが調和しているかどうかで決まります。
間取りの良さとは、
「効率が良いこと」以上に、
日常の動きが自然に整うことだと、私たちは考えています。

リビングは何帖が理想か。
天井はどれくらい高いほうがいいか。
広さは分かりやすい指標です。
ただ、住み始めてから実感するのは、
数字以上に “居場所” の存在が大きいということです。
ソファの端で落ち着ける場所。
窓辺に腰をかけられるスペース。
ダイニング横の小さなカウンター。
家の中に、自分なりの定位置があると、住まいはぐっと馴染みます。
間取りの良し悪しは、面積の大小だけでは測れません。
その空間にどんな時間が生まれるか。
そこに目を向けることが大切です。

収納計画も、間取りを左右する重要な要素です。
収納量が十分にあることは、安心感につながります。
一方で、住んでから実感するのは、
使いやすさは“量”よりも“位置”によって決まるということです。
使う場所の近くにあるか。
取り出しやすい高さか。
家族全員が自然に戻せる配置か。
収納が暮らしの動きに寄り添っていると、家の中は無理なく整っていきます。
間取りの完成度は、目に見える空間だけでなく、日々の片付けやすさの中にも表れます。

住まいは、完成した瞬間がすべてではありません。
暮らしが始まることで、間取りは少しずつ意味を持ちはじめます。
子どもが成長する。
働き方が変わる。
家族の時間の使い方が変化する。
その変化を受け止められる柔軟さがあると、間取りは長く心地よい存在になります。
「良い間取り」とは、
その瞬間の完成度だけではなく、
時間の中で違和感なく馴染み続けること。
Pal & Parkでは、暮らしの先まで見据えた間取り設計を大切にしています。

住んでから分かることは、少なくありません。
それは、設計が足りなかったということではなく、暮らしが空間に意味を与えていくからです。
間取りは、正解を当てるものではなく、ご家族の時間を受け止める土台です。
どんな暮らしを送りたいのか。
どんな時間を積み重ねていきたいのか。
その問いから始まる間取りづくりが、
長く心地よい住まいへとつながっていきます。
住まいについて、まだ具体的な形が見えていなくても構いません。
暮らしの風景から思い描くことが、間取りづくりのはじまりになります。