Pal & Parkでは、
「家は“人”を写す鏡」
だと考えています。
見た目のデザインだけでなく、
“その人がどんな人生を歩み、
どんな価値観で生きてきたか” が、
住まいの本質をかたちづくる――
そう信じています。
このインタビュー企画では、
人生という設計図をひもときながら、
「どんな想いで今の人生、仕事、
価値観で人生を歩んでますか?」
という問いを投げかけます。
記念すべき第1回のゲストは、
Pal & Parkのブランディング
クリエイティブを手掛ける
株式会社SHINZO 代表取締役
佐々木豪史さん。
自らの感覚にまっすぐ従い、
「我が道を行く」姿勢を貫いてきた
彼の半生に触れたとき、
住まいのあり方に新しい視点が生まれました。
佐々木さんの原点についてお聞きしたいと思います。
ご出身は広島ですよね?
はい。山と川が近くにある自然豊かな土地でした。
ただ、“のんびり育った”というより、小さい頃からずっと自分の考えを持っている子どもでした。
納得できないことは絶対に受け入れなかったですね。
それはなかなかエネルギーのあるお子さんだったと思います。
親とはよく衝突していました。
言われた通りにすることができなくて、「なぜそうしないといけないのか?」を常に考えていたので、周りに合わせるよりも、自分が納得できるかどうか。それが判断基準でした。
今の「我が道を行く」スタイルは、すでにこの頃からあったんですね。
そう思います。性格は昔から変わっていないですね。
学生時代はバドミントンに全力を注がれていたと伺いました。
9歳からバドミントンを始めて、中学生の途中からバドミントンのために実家を離れ、1人で大学卒業までずっと打ち込んできました。
小学校6年生のときに初めて全国大会に出場して、中学3年では全国ベスト8、高校2年の時には自身最高記録の準優勝を獲得しました。
大学でも続けられたんですよね?
はい。大学4回生の全国大会では、関東勢が次々と勝ち上がる中、関西勢で唯一ベスト8に食い込みました。
当時の生活はすべてがバドミントン中心。
朝起きる時間も食事もスケジュールも、「どうすれば勝てるか」を基準に動いていたと思います。
そこまで一つの競技に打ち込めるのは、簡単なことではないと思います。
勝負の世界ってシンプルで、自分に合っていたんです。
誰が強くて、誰が勝つか。
特に私が入っていた部活は日本で一番厳しいと言われている歴史ある部活だったので、言い訳が通用しない世界に身を置いていたことで、自分の性格も研ぎ澄まされていきました。
大学卒業後は、大阪ガスに就職されたんですね。
はい。周囲からは意外に思われることもありましたが、自分の中ではごく自然な選択でした。
ビジネスの世界に入ることを、“競技”のように捉えていたところがあるんです。
競技、ですか?
はい。バドミントンと同じで、「相手がいて、環境があって、自分にできる最適なアプローチは何か」を常に考える。
その積み重ねで成果をつくっていく感覚です。
とはいえ、ビジネスでは“勝つ”より“信頼されること”の方が大切だと思っていました。
どんなふうに信頼を築いていったんでしょう?
お客様の立場に立って、常に“何が本当に求められているか”を丁寧に考えるようにしていました。
目先の数字より、その人にとって最善の提案かどうかを優先していたんです。
そうした日々の積み重ねが、結果として評価につながっていきました。
誠実な姿勢が数字に表れていったんですね。
結果として、営業実績は全社でもトップクラスになり、社長賞もいただきました。
でも、自分の中ではまだ「助走期間」だと思っていました。
そこから、独立という道を選んだ。
はい。会社の看板があるからこそ出せる成果と、自分自身の力で勝負することの違いを実感するようになって。
今までの実績はあくまで「大阪ガスの佐々木豪史」だったからこそできていたこと。
肩書きがない「佐々木豪史」では、一筋縄にはいかない厳しい下積み時代が待っていました。
実際、独立後はどんなスタートでしたか?
最初は知人の紹介から小さな案件をひとつずつこなしていく日々でした。
でも、クライアントワークの現場は甘くない。
思い通りにいかないことも多く、自分の未熟さを思い知ることもありました。
今までの人生、努力は報われ続けてきましたが、何をやってもうまくいかない。
「○○の佐々木豪史」ではなく「佐々木豪史」として信頼されることの難しさ、何者でもない自分という現実に直面しました。
ただその中でも、“聞くこと”と“汲み取ること”はできると思っていて。誰かの想いを引き出し、伝わる形に変換する。
そこに僕の価値があると感じ始めたんです。
それが今のSHINZOのスタイルに?
はい。クライアントの本音に寄り添い、言葉にならない部分まで表現に落とし込む。
それがSHINZOの仕事の根っこになっています。
法人だけでなく、生活者と向き合う場面も増えていますよね。
生活者との接点は、数字ではなく“感情の手触り”があるんです。
そこに魅力を感じています。
かっこよく見せるよりも…ネット上の表面的な付き合いだけでなく…ちゃんと地に足をつけて、人と向き合う方が自分には合っていると感じています。
クライアントの声に耳を傾け、ひとつひとつの「想い」と「理想」に向き合いながら歩んできた独立後の数年間。
法人のブランドづくりだけでなく、生活者と真正面から向き合う仕事も増えていく中で、「本当に人の心が揺れ動くこと」「本当に人の心が安心できる空間とは何か」「暮らしの中で自分をどう取り戻せるか」という問いが、自分自身の中でも深まっていきました。
誰かの期待や社会的な評価から少し距離を置いて、「自分が何に心を動かされ、どんな時に満たされるのか」と向き合う時間が増えたことで、仕事や人生、そして“住まい”に対する考え方も、少しずつ変化してきたように思います。
そんな日々の積み重ねのなかで、ふと考えるようになったのが、「自分自身が本当に安心できる場所とはどんな空間だろう?」ということ。
激動すぎる独立してからの波瀾万丈な経験。
今だからこそ見えてきた“理想の住まい”があります。
それでは最後に伺います。
そんな佐々木さんが家を建てるとしたら、どんな家を建てますか?
一言でいうと、「感情を整える場所」。
日々いろんな感情が乱れるじゃないですか。焦りとか不安とか。
でも、家に帰ってきたら自然と呼吸が深くなる。そんな空間が理想です。
私はスポーツをしていたこともあり、中学生の途中から実家を出て、1人で転々としている人生でした。
自分で選んだ人生ですが、今まで「ここに来れば落ち着く」という場所がありませんでした。
だからこそ自分に合った不動の「感情を整える場所」が欲しいです。
具体的には、どんな要素を大切にしたいですか?
自然素材、静かな光、余白。中庭があって、友人がふらっと来ても無理に会話しなくていい。
黙っていても心地いい、そんな家にしたいです。
“自分が自分に戻れる場所”が、きっと一番の豊かさなんだと思います。
・自然素材
無垢材の床や漆喰の壁、土や石の素材感が五感をやさしく刺激し、日々の呼吸を深くする。
•静かな光
朝はやわらかな光が差し込み、午後は木漏れ日のような陰影が室内に広がる。照明は最小限、自然光とともにリズムを刻む。
•余白のある間取り
広すぎない中庭や縁側、思い思いにくつろげる居場所。人が集まっても「無理に会話しなくていい」。
黙っていても心地よく、一人でも、家族や友人といても、心の波が穏やかに整う。
•パブリックとプライベートの
グラデーション
玄関からリビング、そして中庭へとゆるやかに空間がつながり、外からの視線も、内にこもる孤独感も、どちらも心地よく調和される。
•余白”の美学
生活感を隠すのではなく、“余白”を楽しむ。好きなものが自然と溶け込む空間。
誰かの評価や数字のためではなく、「自分が納得できるかどうか」を道しるべに歩んできた佐々木豪史さん。
彼の物語から見えてきたのは、“住まい”とは単なる「暮らす場所」ではなく、「その人の人生が語りかけてくる場所」だということ。
Pal & Parkは、これからも“言葉にならない想い”や“違和感”さえも大切に、一人ひとりの人生がしっかりと息づく「物語のある家」をかたちにしていきます。
家づくりも人生も、“誰かの正解”をなぞるだけでは、本当に心地いい居場所はつくれません。
大切なのは、自分自身の感覚や感情に耳を傾けること。
Pal & Parkが目指すのは、“人が自分らしくいられる空間”、そして“本音で生きられる住まい”。
SHINZO・佐々木豪史さんの歩みと哲学には、これからの家づくりに必要な“余白”と“本質へのまなざし”が込められています。
取材協力:株式会社SHINZO 佐々木豪史
株式会社SHINZO Creative・Branding Agency
所在地:〒651-0084 兵庫県 神戸市中央区 磯辺通1丁目1番18号カサベラ国際プラザビル707
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